解説
地元で収穫されたばかりの農産物がならぶ農産物直売所は、地産地消型の現代版「朝市」としての役割も担っています。地域独自で運営するものや、「道の駅」などに併設されているものなど、地元住民だけでなく観光客や近隣の消費者も、新鮮な農産物や地域独自の産品を目当てに足を運んでいます。平成19(2007)年7月にオープンした農産物直売所「神子の里」は、神子原地区(神子原町・菅池町・千石町)の農家が共同で出資し、農家自身が運営する直売所です。ローマ教皇に献上され一躍有名になったブランド米「神子原米」や、能登野菜の神子原くわいなどの神子原地区でとれる農産物や加工食品、民芸品などが並び、生産者が商品を持ち込み値段をつける仕組みを採っています。また、平成22(2010)年、のと鉄道珠洲駅跡地(珠洲市)にオープンした「すずなり」では、地元の新鮮な野菜や揚げ浜塩田の天然塩、珠洲焼、珪藻土のコンロ、いも菓子などの特産品が販売されているほか、珠洲市の観光情報基地としての機能も持っています。急傾斜地の多い能登では、広い耕作地を確保しにくいほか、耕作の手間もかかり、流通に適した作物の大量栽培は難しいため、一般の流通に乗ることは少なく、小ロット、多品種、規格外品でも販売できる朝市・直売所は、販路としてとても貴重です。また、地域住民がコミュニケーションをはかる場でもあり、情報交換を行い、絆を深めるなど、地域の人の輪を強化する機能もあわせ持っています。