解説
ナマコの卵巣を干して作るのがくちこ(口子)です。ナマコの口先にあることから、この名前があります。一匹のナマコからとれる卵巣はごく微量で、干しくちこを1枚作るのに約20kgのナマコが必要とされ、「海の宝石」とも言われる大変高価な珍味です。生産は七尾湾で行われるナマコ漁に合わせて冬場に限られます。取り出した細い糸のような卵巣を箸を使って干し糸につるし、三角形状になるよう形を整えます。形が三味線のバチに似ていることから「バチコ」とも呼ばれます。軽く炙(あぶ)って食べるのが一般的で、ひとかみするごとに豊潤な海を凝縮した味わいが口中に広がり、酒のさかなに最高です。