解説
このわた(海鼠腸)は、ナマコの腸を塩辛(しおから)にした食品で、江戸時代からウニ、カラスミと並ぶ日本3大珍味に数えられます。七尾市と穴水町の加工業者では、ナマコをさばいて内蔵を取り出す前に生け簀(す)で泥をよく吐かせ、さらに腸管の中に残る泥を完全に取り除くため、一本一本、手や箸を使って絞り出します。この後、塩漬けにして数日間、熟成させます。熟成中にナマコの腸に含まれる自己消化酵素が、腸のタンパク質を分解します。この過程でうま味成分のグルタミン酸が生成され、このわた独特の濃厚な磯の香りと風味が生まれます。酒のさかなやご飯のおかずとして人気があります。