解説
アワビはミミガイ科の大型巻貝の総称で、世界中に分布しています。県内ではクロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビ、トコブシが外浦沿岸の岩礁域に生息し、中でも舳倉(へぐら)島産が海女の素潜り漁法とともに知られています。アワビは古くから「食べると長生きする」めでたいものとされ、近世では加賀藩主・前田家への献上品にもなっています。輪島のアワビの歴史は古く、万葉の歌人で越中の国司でもあった大伴家持が、「沖つ島 い行き渡りて 潜(かづ)くちふ 鮑珠(あわびだま)もが 包みて遣(や)らむ」と歌に残しています。「沖つ島」は今の舳倉島にあたり、「鮑珠」はアワビが作る真珠を指し、漢方薬として珍重されました。舳倉島のアワビは高級食材として知られ、近年は「輪島海女採りアワビ」としてブランド化が進み、石川県漁業協同組合輪島支所が蒸しアワビを販売しています。