解説
塩漬けのイワシを、さらに糠(ぬか)、麹(こうじ)、赤唐辛子(とうがらし)で漬け込んだ保存食です。春先に漬け込み、夏の高温多湿な気候を生かして発酵させたもので、塩辛さと独特の旨みがあります。糠付きのまま焼いたり、糠を落としてそぎ身にして食べたりします。素朴な郷土の味として親しまれており、ご飯のおかずや酒の肴(さかな)として食卓に並びます。起源は定かでないものの、春に大量に水揚げされるイワシは傷みやすい魚であり、保存方法がいろいろ考案される中で生まれたと考えられます。荒天が続き出漁が限られる冬場、こんかいわしは地元住民の貴重なタンパク源として重宝されました。