解説
国指定史跡の吉崎・次場遺跡を保存し、一部を再現した野外博物館です。吉崎・次場遺跡は弥生時代の大きなムラの跡で、能登に弥生文化(稲作と青銅器祭祀)が伝播したことを伝える重要遺跡です。弥生時代の全時期にわたって集落が営まれており、発掘調査では、複数の住居跡のほか高床式倉庫が発見されています。籾の圧痕が付いた土器や木製の農具が出土していることから、稲作が営まれていたことがわかります。このほかにも、銅鏡2点が出土し、これらを制作したとみられる鋳型も出土していることから、能登に青銅器を用いた本格的な弥生の信仰文化があったことがわかります。出土品には、糸魚川産のヒスイをはじめ、様々な地域の系統の土器が見つかっており、北陸にとどまらず近畿、東北、山陰とも広く交流があったと推定されています。以上から、この遺跡は、弥生時代に能登地方のヒト・モノ・情報・技術などをいち早く受け入れた「拠点集落」であり、現在も行われている稲作とそれと共に行われる祭礼など信仰文化のルーツとなる遺跡と位置づけられます。