解説
黒丸家は、過去帳によると15世紀末に能登に土着した土豪で、加賀藩が農村支配で設けた十村役(とむらやく)を務め、農林業だけでなく酒造業も営んだとされます。屋敷は山間中腹に位置し、石垣を築いた上に建てられており、昭和46(1971)年に国重要文化財に指定されました。17世紀後半の建築とされ、石川県内に現存する中で最も古い民家です。ほぼ中央に主屋(おもや)、前方北側に納屋があり、このほかに米蔵、味噌蔵、道具蔵を構えています。主屋は茅葺(かやぶ)き屋根の入母屋(いりもや)造り、平入りで、玄関ニワ(土間)には4本の太い独立柱を立てる古い形式が見られる点が特徴です。内部の表側には奥座敷、中座敷、下座敷が並び、大庄屋である十村役の格式の高さを知ることができます。