解説
いしるは、魚醤油(ぎょしょうゆ)で、能登半島の内浦側はスルメイカの肝臓、外浦側ではイワシを原料に使います。「いしり」や「よしる」とも呼ばれ、秋田の「しょっつる」、香川の「いかなご醤油」とともに、日本三大魚醤に数えられています。作り方は、原料とその30%ほどの塩を樽(たる)に入れ、7~9カ月間熟成・発酵させます。次に、樽下部の栓(せん)を抜いて取り出した液を煮沸(しゃふつ)し、ろ過・冷却して完成です。能登では、刺身用の醤油や煮物、鍋物の調味料にいしるが使われ、いしるを入れた貝に魚介や野菜を入れて煮込む「いしるの貝焼き」は、地元の名物になっています。いしるの語源は、魚の古語である「いお」と「汁」を合わせた「いおしる」とされ、それがなまって「いしる」「いしり」と呼ばれるようになりました。