解説
柚餅子はユズの中をくりぬいて餅を詰め込んだ菓子です。全国にありますが、輪島産のものはユズを丸ごと一つ使うため、「丸柚餅子」と呼ばれます。製法は、秋に収穫した大粒のユズを竹べらで器状にくりぬき、米粉、小麦粉、砂糖、味噌など店ごとの秘伝の配合で混ぜて詰め、せいろで蒸します。自然乾燥させた後、再び蒸す作業をユズの皮があめ色に変わるまで20~30回、期間にして4~5カ月繰り返します。柚餅子は、源平合戦に敗れて能登に逃れた平時忠が保存食として伝えたという伝承があり、かつては輪島塗の行商人が携帯食として持ち歩きました。強いユズの香りと歯ごたえのある食感から、お茶請けだけでなく酒の肴(さかな)としても人気があり、食べ方も皮ごと薄切りや輪切り、炭火であぶったり、千切りにして箸洗いに浮かべたりとさまざまです。