解説
丸太を四角錐(すい)の形に組んだ高さ10メートルほどの漁業用の櫓で、上部は人が座れるようになっています。ボラが回遊してくる入り江に立て、櫓の上から海底に張った25メートル四方の網を見張り、魚の群れが中に入ると網を引いて生け捕りにします。起源は定かではありませんが、穴水町では遅くとも江戸時代から続く伝統的な漁法で、終戦直後までは十数基の櫓がありました。ボラが減ったことに加え、長い時間と労力を要する漁法であることから次第に姿を消し、平成8(1996)年を最後に行われていません。現在は、穴水町の国道249号線の根木ポケットパーク、中居ふれあいパーク及び潮騒の道でやぐらを見ることができます。明治22(1889)年に能登を訪れたアメリカの天文学者パーシバル・ローエルは、その著書の中でボラ待ち櫓のことを「怪鳥ロックの巣のようだ」と表現しています。