解説
鎌倉期以前から現在まで25代続き、江戸時代には天領庄屋として栄えたのが南家です。建物は明治時代に見られる大規模民家の様式で、母屋、米蔵が平成18(2006)年、国の登録有形文化財に指定されました。歴代当主が惣右衛門、宗右衛門(そうえもん)と名乗ったことから南惣家と呼ばれるようになったと伝わります。米穀、材木、木炭、製塩、製茶、養蚕など手広く手がけ、北前船(きたまえぶね)で財を成しました。また、歴代当主は美術や茶道を好み、日本、中国、朝鮮の陶磁器、書画、漆芸、金工などの古美術品を収集しました。コレクションには、江戸時代に活躍した絵師の俵屋宗達(たわらやそうたつ)や円山応挙(まるやまおうきょ)、陶工の野々村仁清(ののむらにんせい)などの作品もあります。昭和46(1971)年に築200年の米蔵を改装して「能登集古館 南惣」を開館し、平成12(2000)年に「南惣美術館」に改称し、展示公開しています。