解説
能登半島で作られる手すき和紙で、地名から能登仁行和紙と言われています。書画に使う「画仙紙」、スギの皮を用いた「杉皮紙」、野の花をすき込んだ「野集(やしゅう)紙」などの種類があり、能登の風土を表したような素朴な風合いが魅力です。包装用や工芸用として海外でも人気で、能登町(旧柳田村)の合鹿椀(ごうろくわん)を入れる箱に張るなど、地元の漆芸家にも愛用されています。また、のと鉄道が運行する観光列車「のと里山里海号」内にあるミニギャラリーにも展示されています。能登仁行和紙は昭和24(1949)年、遠見周作氏が始めたもので、現在は遠見京美さん、和之さんの親子が制作にあたっています。京美さんは石川県認定の伝統工芸士に選ばれており、和之さんは照明の材料に用いるなど、遠見和紙の新たな可能性を探っています。