解説
七尾湾でとれるナマコはマナマコ(真海鼠)で、シカクナマコ科マナマコ属の棘皮(きょくひ)動物です。体表は主にコラーゲンからなる厚い体壁に覆われ、伸縮性に富んでいます。体長が約30cmになり、体色は赤や青、黒。前方に口、後方に肛門があり、海底の砂泥に混じる珪藻(けいそう)類や海藻片、微小生物などを食べ、栄養をとった後に砂を排泄(はいせつ)します。七尾湾のナマコ漁は12月から2月にかけて最盛期となり、ナマコ桁曳網(けたひきあみ)を使ってとります。ナマコは酢のもので生食するほか、腸は「このわた(腸の塩辛)」、卵巣は干して「くちこ」に加工されます。最近では、中華料理の高級食材として乾燥させたナマコの需要も高まっています。また、七尾では奈良時代に既にナマコを食べており、ナマコを平城京へ献上したことを示す木簡が見つかっています。