解説
輪島市と珠洲市、穴水町、能登町で栽培されるクリを総称して能登栗と呼ばれています。石川独自の品種ではなく、最も収穫量の多い「丹沢(たんざわ)」を筆頭に、「伊吹(いぶき)」「筑波(つくば)」、「石鎚(いしづち)」といった品種が栽培されています。奥能登の粘土質の赤土は水持ちがよい上、鉄分やカルシウムが豊富で味に深みを与えています。9月から10月にかけて収穫され、金沢や関西地区に出荷されます。近年ではスイーツや特産品にも採用され、知名度も上がっています。産地化が始まったきっかけは、昭和40年代の国営パイロット開拓事業です。当時、栽培農家は約100軒を数え、出荷量は100トンを超えましたが、現在は半減しています。穴水町東部にある二子山周辺では、数件の観光クリ農園があり、近郊の牧場とともに、のどかな里山の風景をつくり出しています。