解説
能登では、7月から10月にかけて、志賀町以北の6市町の約170地区で、「キリコ祭り」と呼ばれる夏祭りや秋祭りが行われています。キリコとは、神輿(みこし)を先導して夜道を照らす御神燈(ごしんとう)「切子灯籠(きりことうろう)」を縮めた呼び名で、地区によっては「奉燈(ほうとう)」「御明(おあ)かし」とも呼ばれます。キリコは元々、「切籠」の字を当てたとされ、竹の空間には龍(祖霊ほか)などの神聖なものが宿ると考えられていました。キリコと言っても大小さまざまで、子供が担ぐ小型のものから高さ約15メートル、100人以上で担ぐ巨大なものまであり、祭り当日、若者衆たちがキリコを担いで地区を練り歩きます。能登でいつからキリコ祭りが行われるようになったか定かではありませんが、記録上では正保3(1646)年、輪島の住吉神社の祭りで使われたキリコが最古とされています。「盆暮れに帰省できなくてもキリコ祭りには必ず帰る」と言うほど、キリコは能登で生まれ育った人間にとって特別な存在となっています。平成27(2015)年、文化庁の日本遺産に「灯(あか)り舞う半島 能登 ~熱狂のキリコ祭り~」(七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町)として認定されました。