解説
向田町にある伊夜比咩(いやひめ)神社の夏祭りのクライマックスを飾る火祭りで、毎年7月の最終土曜日に行われます。地元では「オスズミ祭」とも言われています。神社の東に位置する崎山の干場と呼ぶ広場に、高さ13mの大木を約800束の柴(しば)で覆い、青竹を指して先端に御幣(ごへい)をつけた柱松明(はしらたいまつ)が用意されます。祭りの夜、柱松明を取り囲む住民が合図で一斉に手松明を投げ込むと、火は一気に柱松明の頂点に達し夜空を焦がします。燃えさかる炎の柱は迫力満点で、やがて倒れた柱松明の方向が山側なら豊作、海側なら豊漁とされます。旧暦6月、罪やけがれをのぞき去るために行われる夏越(なご)し神事に、鎮火祭が合わさって発展したものと考えられ、日本の夏祭りの起源を伝える祭りとして注目されます。石川県の無形民俗文化財に指定されています。