解説
輪島市南西部に位置する門前町黒島町は、かつて北前船(きたまえぶね)の寄港地として栄えた天領でした。船問屋を営んだ角海家は、幕末から明治前半にかけて隆盛を極め、最盛期には7隻の北前船を所有していました。現存する角海家住宅は明治5(1872)年に建てられ、主屋は木造平屋建て、切り妻造り、平入り、桟(さん)瓦葺(ぶ)き、通り庭形式の間取りです。土蔵は3階建ての家財蔵、2階建ての塩蔵、小豆蔵、米蔵の計4棟があり、典型的な船問屋形式の姿を今に伝え、県指定有形文化財に指定されています。平成19(2007)年の能登半島地震で全壊しましたが、同23(2011)年に復元され、収蔵品とともに一般公開されています。一帯は角海家以外にも船問屋の建物が残り、国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けています。