解説
輪島で連綿と歌い継がれてきた芸能が「輪島まだら」です。七・七・七・五の歌詞の母音を、長々と引いて斉唱する勇壮な歌い方が特徴です。輪島は室町時代末、日本の十大港湾である「三津七湊(さんしんしちそう)」のひとつに数えられ、江戸末期から明治末期にかけては北前船(きたまえぶね)の寄港地として栄えました。海運を通じて各地の情報や文化が輪島にもたらされた中に、「まだら」もあったと考えられています。元々は、漁師や北前船の船乗りたちが1月に行う起舟(きしゅう)の祝い唄として歌われ、後に家の新築や婚礼などの祝い唄として定着しました。また、「輪島まだら」のほかに「輪島崎まだら・あのり」という唄もあります。「あのり」は、漁師の航海安全を守る「安乗り」を意味すると伝わります。また、「七尾まだら」は、「めでためでたの若松様よ、枝も栄えて葉も茂る…」という唄い出しで、青柏祭をはじめとする祭礼の場面や結婚式など、おめでたいハレの場面には必ずと言っていいほど唄われ、法被に扇子を持って舞う、独特の姿を楽しむことができます。「七尾まだら」が出ないと場が締まらないとまで言われるほどです。
これらの唄は、石川県無形民俗文化財に指定されています。