解説
崎山半島の東、富山湾に面した日室地区にある諏訪(すわ)神社の祭りで、ご神木のタブノキに魚の形を刻印した2丁の鎌を打ち込み、「鎮風」と「豊漁」を祈願します。日室は定置網漁業が盛んな灘浦(なだうら)にあって、江戸期、有数の漁村だった江泊の枝村にあたります。毎年8月27日、鎌を結えたサカキを持った当元(とうもと)を先頭に住民が神社に集まり、拝殿でお祓いを受ける「権現(ごんげん)迎え」を行います。続いて、サカキを外した2丁の鎌を神職から受けた当元が、拝殿背後の神域にあるタブノキの幹に、ナタの背で雄鎌、雌鎌の順に打ち込みます。この後、一同は御神酒(おみき)を頂き、祭りを終えます。石川県無形民俗文化財に指定される奇祭として知られます。