解説
トミヨはトゲウオ目トゲウオ科の魚で、背中に7~10本のトゲがあり、胸から尾にかけて約30枚の鱗板(りんばん)並びます。淡水、汽水から海水まで生息しますが、きれいな冷水(15度前後)を好むため、北海道以外の日本では水温の低い湧水池や、その水が流れ出る小川などの淡水環境に生息しています。体長は淡水では5~6.5cm、海水では8~9cmになり、雄が水草などを使って球状の巣を作り、産みつけられた卵を保護するのが特徴です。水質の変化や渇水の影響を受けやすく、石川県内では志賀町末吉地区の鷺池(さぎいけ)のほか、白山市と能美市でしか確認されておらず、「いしかわレッドデータブック」の絶滅危惧Ⅰ類になっています。また、石川県はトミヨの自然分布の南限とされています。末吉地区では、ほ場整備事業に着手したのを契機に、平成14(2002)年、30年以上放置されていた鷺池をヒオトープとして整備。以降、同16(04)年に設立した農事組合法人「トミヨの里」を中心に、地区内の堀松小学校や老人会、壮年団、婦人会がアシの刈り取りや汚泥の除去などを行い、地域を挙げてトミヨ保護の環境保全活動に取り組んでいます。