解説
承和元(834)年創建と伝わる松尾神社は、古くは町居、草木(くさぎ)、日下田(ひげた)3カ村の総社として尊崇を集めた古社で、主神に大山咋命(おおやまくいのみこと)と玉依比売命(たまよりひめのみこと)を祀っています。本殿の建立は構造や手法から室町時代末期と推定され、身舎(もや)正面の柱間が約1.8mの1間社流造(げんしゃながれづく)りで、流し板を葺(ふ)き、覆板(おおいいた)で保護されています。参拝者が礼拝する向拝(こうはい)から階段上の少し奥まった位置に板扉があり、床を一段高く張ってご神体を安置する内陣を設けています。正面左右に配した向拝柱は角が面取りされた角柱で、竜の彫刻が施されています。棟札(むなふだ)などによると、宝永元(1704)年、本殿に縁をつけ加え、向拝回りなどの修理が行われましたが、能登に現存する中世の神社建造物として価値は高く、国の重要文化財に指定されています。