解説
烏帽子親とは、別の家族との間で親子関係を結ぶ擬制親子を指し、石川県内では能登にだけ見られる慣習として伝えられてきました。烏帽子親は烏帽子子の保証人や仕事の世話をするなどの援助や相談相手になるのに対し、烏帽子子は烏帽子親の仕事や冠婚葬祭を無報酬で手伝うといった、実の親子と同様の密接な関係を結びます。神子原地区が平成17(2005)年から始めた「烏帽子親農家制度」は、都市部の学生に宿泊型の農業体験を提供する交流事業です。能登の伝統を生かして宿泊先の農家を烏帽子親、学生を烏帽子子とし、学生はさまざまな農作業を通して農村と住民の心にふれます。親子のさかずきを交わした農家と学生は、その後も定期的に連絡を取り合いながら交流を深め、実際の烏帽子親のような関係が築かれることを目指しています。