解説
七尾和ろうそくは、ハゼの木から取った植物油をロウに使い、芯に和紙を用いた古くからの和ろうそくの作り方を受け継いでいます。石油を原料としたパラフィンロウと木綿糸の芯からなる洋ろうそくに比べ、ススが出にくく、炎が大きくて風に強く、消えにくいのが特徴です。もともと中国からの舶来品だったろうそくが、国内の一般家庭に広まったのは江戸時代に原料となるハゼの栽培が奨励されてから。浄土真宗の盛んな石川県でも、藩政期には仏事に用いる灯りとして、金沢などで和ろうそくが盛んに作られていました。中でも、七尾は七尾仏壇の普及とともに和ろうそくの産地としての知名度が高まり、明治時代には北前船で七尾港に運ばれたハゼを使い、七尾和ろうそくが全国に流通していました。現在は、明治25(1892)年創業の高澤ろうそく(七尾市一本杉町)が県内で唯一、和ろうそくの製造を行っています。最近では、朱色や白色といった仏事で使う和ろうそくだけでなく、季節の花絵や伝統的な小紋柄を描いたものなど、さまざまな種類が作られており、石川県のお土産品としても人気を集めています。