解説
身近な生活圏に生息する動植物の実態を把握するため、能登各地では地域住民や子供が参加する生き物調査が実施されています。多くは「野生の動物や植物の暮らしやすい場所」を再生するビオトープ活動と並行して行われ、生物多様性への関心と意識を高めるのに役立っています。例えば、珠洲市三崎町小泊の耕作放棄地を活用したビオトープ水田では、化学肥料や農薬を使わない環境に配慮した米作りが行われ、環境学習として能登の小中学校を対象に、ビオトープ水田や保安林での生き物観察会を開いています。金沢大学と共同で作成された「能登のいきもの大図鑑」は、間違えやすい甲虫と水生昆虫や能登のカエルの見分け方が写真入りで印刷され、現地調査で生物名や特徴を確認できるツールとして活用されています。化学肥料や農薬を低減することで、生き物の種類や数が増えたと実感する農家も多く、環境に配慮した農業の重要性も浸透し始めています。