解説
平野部が少なく、丘陵地が海岸近くまで迫る地域の多い能登では、先人たちが傾斜地を切り開き、たくさんの棚田を築いてきました。平成11(1999)年に農林水産省の「日本の棚田百選」に選ばれた白米(しろよね)千枚田<輪島市>や大笹波(おおささなみ)水田<志賀町>、にほんの里100選の金蔵(かなくら)集落<輪島市>など、美しい棚田は能登を象徴する景観と言えます。棚田は、平野部の水田に比べて作業効率や生産性が下がります。さらに、農業従事者の高齢化と減少が進む能登では、耕作放棄地の増加が危惧されています。奥能登エリアにある4つの農協では、先人が守り続けた棚田で環境に配慮して育てたコシヒカリを「能登棚田米」として販売し、売り上げの一部を保全活動にあて、景観や文化、そこに生息する動植物を守るための取り組みを行っています。