解説
はざ干しは、刈り取った稲の束(たば)を「はざ木」という棚にかけ、天日干しする伝統的な乾燥技術で、能登の秋を象徴する光景のひとつです。「はざ」は漢字で「稲架」と表記し、地方によっては稲木(いなぎ)、稲掛(いねかけ)、稲機(いなばた)と呼びます。はざは、木や竹を使い、3~5メートルの従棒を立て、それに何段もの横棒を渡して組み上げ、集落によっては高さ10メートルを超える巨大なものも見られます。各農家では、はざ木用の木や竹を育てており、大型機械が入らないような棚田や小さな水田では、刈り取った場所のすぐ近くではざ干しを行います。天日でゆっくりと乾燥させることで、米の食味が増します。ただ、はざ干しはすべて手作業で、乾燥にも時間がかかるため、全国的に減少しています。