解説
巻きブリは、寒ブリを熟成させて作る保存食です。現在、七尾市南大呑地区の池岡家で100年ほど前から代々継承されています。七尾湾に面したこの地区で水揚げされた寒ブリをさばき、塩漬けし、陰干ししたあと、虫がつかないようにビニールの上から藁でくるみます。それをロープでぐるぐると巻いて固定して、半年間熟成させて作られます。手間と長い年月を経てできあがった巻きブリは、まるで生ハムのような食感で、その美味しさから高級食材としても知られています。また、背中部分はあっさりと、脂ののったトロの部分は濃厚などと、部位によっても味わいが異なります。もともとは、家族や親戚など、多くの人が家に集まるお盆の時期に、冬場ほどの豊富な海の幸を楽しめないということもあって、巻きブリは夏の間のごちそうとして重宝されてきました。