解説
農家が田の神様に1年の豊作を祈り、収穫に感謝する奥能登の風習で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。「あえ」はもてなし、「こと」は神事を意味すると言われ、毎年2月9日と12月5日に行われてきました。12月5日は、その家の主人が田んぼまで神様を迎えにいき、家に招き入れます。神様の1年の労に感謝して風呂に入れ、背中を洗い流す所作をした後、種もみ俵(だわら)を据えて作った神座(しんざ)のある奥座敷に案内し、海の幸、山の幸のごちそうを並べて主人が説明しながら饗応(きょうおう)します。神様はそのまま家にとどまって年を越し、翌年2月9日、「田の神送り」として迎えた時と同様のもてなしを行った後、神様を田んぼまで送り、その年の豊作を祈ります。日本の稲作文化をたどる農業神事の原型として、平成21(2009)年、ユネスコによる無形文化遺産にも登録されています。